上部消化管外科 診療案内胃の病気と治療

胃の病気と治療

1.胃とは

胃は食道から続き十二指腸につながる臓器で、鳩尾(みぞおち)の辺りにあり、消化の重要な役割を担っています。

2.診療の対象となる胃の疾患

当科では、胃の様々な疾患の治療を行っていますが、代表的なものとして胃がんと胃消化管間質腫瘍(GIST)があります。

3.胃がんの治療

当科では、年間150~200人の胃がん患者さんを治療しています。診断がついた時点でのステージ(進行の度合い)や患者さんのもともとの健康状態をもとに、手術だけではなく抗がん剤治療を含めた様々な治療方法の中から最適な治療法を、患者さんとよく相談したうえで選択します。

当科における胃がん切除件数の推移

1 腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術

当科では腹腔鏡下手術やロボット支援下手術を積極的に行っています。腹腔鏡下手術は内視鏡で治療できない早期の胃がんなどを対象に行っています。ロボット支援下手術は手術の難度が高くなる高度肥満のある患者さんや、がんが早期よりもやや進行した患者さんを対象に行っています

ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際

胃がんに対するロボット支援下手術は腹腔鏡下手術よりも手術に伴う合併症を少なくすることができるという実績が報告され、2018年4月より保険診療として受けることが可能になりました。当科では、その際に保険認定施設としてロボット支援下手術を開始し、2021年3月までに手術を受けた患者さんは70人に達しました。

当科における腹腔鏡下手術・ロボット手術支援下手術の推移(2004~2019年)

2 内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術 ESD)

当科では、早期胃がんに対して積極的に内視鏡治療を選択しており、年間約100人の患者さんに内視鏡治療を行っています。

3 進行胃がんに対する治療

切除可能な進行胃がんに対して、抗がん剤治療(オキサリプラチンとエスワンの併用療法)を2コース行った後に、手術を行っています。この治療は当科が主催する多施設共同臨床研究として、他の専門施設と連携して行っています。現在、これまでの治療結果のデータを集積しており、先に手術行う治療方法よりも良好な成績が得られることが期待されます。

また、傍大動脈リンパ節や肝臓への転移、腹膜転移、腹水細胞診陽性などがあるために切除不能と診断された進行がんや、手術後の再発に対しても、抗がん剤治療を積極的に行って、長期間効果があれば、手術による切除(コンバージョン手術;conversion surgery)を行っています。

4 胃消化管間質腫瘍(GIST)の治療

切胃GISTは、発生率が10万人に1人という比較的まれな疾患です。当科では年間15~20人前後の患者さんの治療(おもに切除)を行っています。手術では、腫瘍を含む胃を部分的に切除しますが、切除の方法によっては手術後の胃の変形が強く、胃の一部が狭くなる(狭窄)ことが問題となっていました。

そこで当科では、腫瘍の発育形s式によって異なった切除方法を選択しています。

腫瘍の発育形式の違い
胃内発育型(腫瘍の大半が胃の中に向かって発育)
胃内発育型(腫瘍の大半が胃の中に向かって発育)
胃外発育型(腫瘍の大半が胃の外に向かって発育)

胃は硬い外壁である平滑筋と軟らかい内壁である粘膜の2重構造になっています。

手術では、胃の中から内視鏡で腫瘍の位置を確認しながら、外壁である平滑筋の切除範囲をできるだけ小さくすることで胃の変形を少なくします。最小限の範囲でくり貫いた外壁(平滑筋)の孔を通して、軟らかい粘膜とともに腫瘍を胃の外に引き出して切除します。切除の際に自動縫合器(切除と縫合を同時に行う機器)を用いますので、胃を開かずに切除が完了します。

最後に外壁(平滑筋)の孔を縫い合わせて手術は終了します(closed LECS法)。これによって、胃の入口や出口に近い腫瘍でも狭窄を起こすことなく切除することができます。

closed LECS法による腫瘍切除前後の胃内視鏡画像